先日タクシー業界の現状についてこんなブログを書きました。
タクシー事業の今後について 私ごときがタクシー事業に物申すのには甚だおこがましいですが、今感じているタクシー事業を取り巻く環境について自分なりの見解を述べさせて頂きます。 コロナ禍で以前とは比べ物にならない程利用客が減少してい[…]
それについて、所属する労働組合の事務所に意見交換をしに行ってきました。
そこで様々なタクシーを取り巻く環境について話を聞かせて頂きましたので、ご紹介させて頂きます。
労働組合からの回答
まず初めに、コロナ禍によるタクシー需要の低迷により、売上が下がり、営業利益が赤字に転じていることについて
事実であり、上場している大和自動車や神奈川中央交通だけではなく業界全体が同じ状況である。
実際当社(私が勤めているタクシー会社)が倒産してしまう危機にあるのか?
2022年3月まで銀行からの借り入れ金の返済計画があり、その工程表通りに行けば倒産はないが、返済計画に支障をきたす問題が起きた場合は可能性としてはあり得る。
実際に倒産しそうなタクシー会社はあるのか?
チェッカーグループで乗務員150名の会社が既に倒産している。
他にも数社倒産寸前のタクシー会社はあるが、自社ビルや土地を持っている会社はまだ大丈夫でも、土地や事務所を借りている会社は資金面でかなり厳しい状況と聞いている。
今後売り上げが上がらない状況が続いたら会社はどうやって利益を出していくのか?
タクシー会社は一般的には全売り上げの2~3%が純利益になる。
営業利益が赤字になっているので、運賃の値上げをするほかに手はないと考えているが、日本交通が値上げに反対していてタクシー連合として意見がまとまらないのが現状である。
乗務員の歩合を下げる考えはあるのか?
会社は乗務員の歩合を下げる事は一番最後の手段としたいと考えている。
現状そうならない様に最善を尽くしている。
まずは内勤者のリストラや、資産の売却などで対応していくことになるが、最終的に乗務員の歩合を下げる可能性はある。
ライドシェアについて
タクシー会社が倒産したり旅客運送業者としての力が弱まってしまうとライドシェアが解禁されやすくなるのか?
すでに日本以外の諸外国ではライドシェアが当たり前で、既存のタクシー会社は次々と廃業を余儀なくされている。
日本では、2種免許の取得、運送ナンバーの取得等、国土交通省の定めた厳しい基準を変える事が現状困難な為ライドシェアの導入は見送られている。
ウーバーイーツの自転車マナーの悪さが目立つことで、警視庁もウーバータクシーの解禁には大反対の姿勢である。
特に銀座地区でライドシェアが導入されると交通渋滞やトラブルが多発する恐れがある為、かなり慎重に議論されている最中である。
しかし、ソフトバンク、楽天、DeNAなど大手企業が外資系のライドシェア企業に投資していて、既にウーバーは東京無線や個人タクシーに導入が始まっている。
既存のタクシー会社を外資系ファンドの資金力でM&Aすることも可能性としてはある。
特に最大手の日本交通は中曽根家との血縁を持ち、コロナ禍で倒産を余儀なくされることはないであろう、もし経営が危なくなれば自民党系統から外資系ファンドまで幅広く手を差し伸べてくれるところがあると思われる。
仮に日本交通がウーバーに買収されることがあれば、一気に日本のタクシー業界は変わるかも知れないと懸念している。
まとめ
タクシー業界を取り巻く環境は非常に厳しく、いつ会社が倒産してしまってもおかしくない状況だと言う事が改めて分かりました。
とはいえ、コロナ禍で既存のタクシー会社が倒産したとしても、人々の生活や経済活動には欠かせない要素ではあるので、世の中からタクシーがなくなってしまう事はありません。
そこでウーバーなど白タクが合法化されるかと言えば、国土交通省や警視庁からの厳しい規制を変える事は現状難しく、すぐに参入することにはならないと思われます。
しかし、大手IT企業や外資系ファンドなどが政治家を動かすとこで、官僚に対するプレッシャーをかける事は十分考えられることであり、法改正が必要な部分をクリアすれば、一気に日本にライドシェアが導入され、既存のタクシー会社は総じて廃業の道へ向かうだろうと考えられるそうです。
そして、それ以外に既存のタクシー会社が今まで以上に華々しく復活するアイデアや発想は、現状何もないと言う事も改めて分かりました。
コロナが収束して、企業がリモートワークを止め、人と人との交流が今まで以上に活発になり、イベントや海外旅行に出かける人たちで駅や空港がいっぱいになる世界が来るとすれば、タクシー業界にも明るい光となるのかもしれませんが、今のところそんな未来を予想する人はどこにもいないと思います。
現実をしっかりと見つめ、今の自分に出来る事を精いっぱいやりながら、今後の身の振り方を考えたいと思います。
それでは、今回は以上となります。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。