こんにちは、たけんちです。
これまでドル円が動く仕組みを様々な要因で考えてきましたが、米国経済や政策金利、実需の両替などとはまた違った視点からドル円と連動性が高いものについて考えて行きたいと思います。
今回は、コモディティ、先物になります。
主に原油と金の先物取引がドル円にどう影響を及ぼしているのか?ドルインデックスと言われるドルを中心とした他国通貨とのバランスを図る指標などにも注目していきたいと思います。
ドルインデックス
ドルに対して、ユーロ、円、ポンド、スイスフランなどの通貨の価値を比べて指数化したもので、他国の通貨と米ドルがどんな関係にあり、米ドルが今どんな評価をされているのかを図っています。
こちらがトレーディングビューで見たドルインデックスの日足チャートになります。
現在は(右下)93.16ポイント付近を推移していて、コロナショックの3月中旬に付けた(左上)高値103.00付近から右肩下がりになっているのが分かります。
これは、他国の通貨に対してドルの価値が下がって来ていることを意味していて、それに伴ってドル円も下落しています。
こちらもトレーディングビューで見た同じ期間のドル円の日足チャートになります。
ドルインデックスと同じように左上の3月中旬地点から右肩下がりになっていることが分かると思います。
コロナショックの後一旦はV字回復しましたが、その後ドル円が右肩下がりになっている原因のひとつに、ドルが円以外の通貨からも売られていることがこのドルインデックスを見る事で確認することが出来ます。
金価格
金の価格は今年8月頃に2000ドル台の高値を付けました。
戦争や災害などが起きると比較的安全であるとされる金の価格が高騰すると言われ、株式や債券が売られる傾向にあります。コロナショックの影響が相場の格言通りになったと思われる現象が起きました。
市場に出回るお金は常にどこかの投資先に向かっていますので、通貨から株式へ、株式から先物へ、先物から現物へとグルグルと移り変わっています。
そんな中で金の価格が高騰する理由としては、基軸通貨である米ドルへの不信感の表れが大きいとされています。
後述する仮想通貨への投資が過熱している背景にも通じていますが、金の価格が高騰して、米10年債利回りが低下している時はドル円は下落し、金価格が下落して、米10年債利回りが上がっている時には、ドル円は上昇しています。
ドル円をトレードする場合、単一にドル円チャートだけを見ているのではなく、ドルインデックスや金価格のチャートも併せてみるとより良いのではないかと思います。
※基本は金とドルは逆相関(金が上がればドルが下がる)していると言われていますが、必ずしもそうなると決まっている訳でありませんので、長く相場を見続けていく事で新たな相関関係を発見できるかもしれません。
原油価格
こちらも今年先物市場でマイナス40ドルと言う記録的な安値を付けた原油価格ですが、実際に産油国である中東が原油を販売する場合、取引に使用する通貨は米ドルになります。
世界中の国々の企業が取引先になりますので基軸通貨の米ドルを使う訳ですが、その為に投機的な先物の売買が頻繁に繰り返され、コロナショックで航空会社や鉄道、工業産業が一斉にストップしてしまった影響で、原油の需要が一気になくなりました。
元々中東諸国とロシアの間に原油やシェールガスの取引量をめぐってのいざこざもあり、原油の価格がマイナスにまでなってしまう事態に発展しました。
当然投機的に原油の先物をコール(買い)で持っている人は、限月(げんげつ)になるとマイナスの価格がついてしまう為、追証(おいしょう)を免れるために現金(米ドル)を証券口座に入金しなければならす、多額のドルが必要になってしまいます。
そうすることで、為替市場から原油先物市場へドルが移動すると言う事になりますから、必然的にドル円は売られて下落します。
一般的には原油価格が下落するとドル円も下がり、原油価格が上昇すると、ドル円も上がりやすくなります。
「風が吹けば桶屋が儲かる」と言うはなしに近いことが現代にも起こっていて、ドル円相場にも大きな影響を及ぼしています。
仮想通貨
近年中央銀行が仮想通貨を発行するのではないか、との報道が相次いでいる為か、ビットコインの価値が見直されその価格が上昇を続けています。
仮想通貨はブロックチェーンと呼ばれる仕組み上、売買している参加者が共同で管理しあうシステムなので、中央銀行が定める政策金利や、政府の金融政策などには干渉されない独自性を持っています。
しかし、仮想通貨自体を購入するためには、実際に流通している通貨が必要になり、ビットコイン/ドルやビットコイン/円などのチャートもあるように、各通貨とビットコインとの交換をしている訳ですから、その価値を支える根拠としては、ドルや円などの通貨の価値に裏付けられていると言えると思います。
仮に1ドル=100円の場合、1ビットコイン=1万ドル、1ビットコイン=100万円、のような感じになります。
ドル円との関係性ですが、数年前までは中国の人民元をビットコインに交換し、そのビットコインとドルを交換することで外貨を手にする動きがあったそうですが、それを中国当局が禁止したことにより一旦は収まったそうです。しかし人民元自体が他国の通貨との変動相場制になっていないことから、外貨を手に入れたい中国企業などの抜け道に使われる要素は残っているとの事です。
もし仮にビットコインなどの仮想通貨がドルや円にとって代わる時代になったり、中央銀行が仮想通貨を発行する事になる場合には、現状の通貨の信用が失われていくことになりますので、ドル円相場にも影響が出てくるはずですが、現状はまだ何とも判断出来ませんので、今後の動向に注目して行きたいです。
まだ仮想通貨自体の歴史が浅い為、現状ではビットコインと米ドルや、ダウやナスダックなどの株式指数などとの相関性を示すこともはっきりとは出来ていないそうです。
VIX指数
シカゴマーカンタイル取引所に上場している指数で、別名恐怖指数とも呼ばれています。
詳しくは下記の記事に詳細を書いてありますので参考にして頂けたらと思います。
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シカゴIMM通貨先物ポジション推移
こちらは毎週月曜日に更新されるシカゴマーカンタイル取引所で取引されている各通貨ペアの先物のポジションを表しています。
ご覧いただいて分かる通り【日本円/米ドル】と書かれた表の赤いグラフと青いグラフの部分はロングポジションを持っている人と、ショートポジションを持っている人の割合を表していて、この表ですと、円のロングを保有している人が多くなっています。
つまり、ドル円のショートポジションを保有している人が多いということになります。
ドル円のショートポジションを持っている人が多いと言う事は、マーケットの傾きからそのショートの損切りを狙った大口がロングを仕掛けるタイミングを見計らっていると考える事も出来る為、注意が必要になります。
ですが、大統領選挙やコロナの感染者数などで更に安全資産である円をロングする人が増えてくる可能性もありますので、そうなると一層ドル円は下落方向へ進むこととなり、ひとつの目安としてチェックしておいて頂けたら良いかと思います。
まとめ
これまでドル円が動く仕組みと連動性について私が知りえる限りの事柄を書かせて頂きました。
まだまだ他にもたくさんの要素が複雑に絡み合ってドル円を動かしていると思いますが、より大きな影響力を持つであろう事柄だけでも押さえておくことで、ただチャートを眺めているだけよりは数段トレードが優位になってくると思います。
更に、ドル円を動かす要因を知ることで、他の通貨ユーロ、ポンド、豪ドルなどにも当てはめて考える事が出来ますし、基軸通貨である米ドルの動向を一番に考える事がFXトレードをしていくうえで不可欠な考え方だと思っています。
今後どうなるか予測不可能な相場の世界にあって、少しでも優位性を保てるために、日々様々な要因を考慮しながら相場に向かっていけたらと思います。
それでは、今回は以上となります。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。