こんにちは、たけんちです。
「ボラティリティ」とは相場の価格変動の大きさを表す言葉です。
よく「ボラが無い」とか「ボラが高い」と言われるのは、相場の価格変動があるかないかと言う意味で使われています。分かりやすく言うと、値動きが大きいか?小さいか?の違いです。
では、相場の価格変動を表す「ボラティリティ」とはどのようにしてFXで使われているのでしょう?
「ボラティリティ」とはどこでどんな風に決められているのでしょうか?
様々な角度からボラティリティを解剖してみたいと思います。
ボラティリティとは
金融工学においてボラティリティとは資産価値の変動の激しさを表すパラメータ|wikipediaより
ボラティリティは何で決まっているの?
ボラティリティ指数(volatility index)と呼ばれる、特定の金融市場においてオプション価格から算出したボラティリティを数値化したものがあり、代表的なものがVIX(ヴィックス)指数と呼ばれるもので、アメリカのシカゴオプション(先物)取引所が、S&P500種指数を対象とするオプション(先物)の価格を元に算出した指数(数値)になります。
シカゴ·マーカンタイル(先物)取引所ってどんなところ?
アメリカ合衆国シカゴにある商品、金融の先物の取引所になります。
S&P500種指数とは、ニューヨーク証券取引所に上場している企業500種の時価総額を元に算出した株価指数(インデックス)になります。
VIX(ボラティリティインデックス)指数は別名「恐怖指数」などとも呼ばれていてS&P500種指数を元に算出しています。この数値が高いほど投資家が市場に対して不安や恐怖を抱いていると言われています。
VIX指数を確認してみよう!
この様にチャートで確認することが出来ます。(画像:トレーディングビュー)
一番数値が高くなっているところが新型コロナの流行で世界中が大混乱していた時期になります。VIX指数は85付近まで上昇して、その後右下の25付近まで下がって来ています。株、債券、原油など先物価格が大暴落した為この様なチャートを形成しました。
インデックスを見てみよう!
インデックスとは指数の事で、株式、債券、為替、コモディティ、などさまざまなものがあります。
VIX指数はアメリカの株式の先物が元になっていますが、FXの場合ドルインデックスや円インデックス、ポンドインデックス、ユーロインデックスなど様々なインデックスがあります。
ドルインデックスは、様々な通貨に対するドルの価値を指数化したもので、数値が上がっていれば他通貨に対してドルの影響力が強くなっていて、下がっていればドルの影響力が弱くなっていることを表します。
VIX指数と同様にコロナが流行し始めた3月頃から指数が最高値を付けています。株や債券が一斉に売られたため、現金(ドル)のニーズが高まった為だと考えられています。
原油価格に注目しよう!
WTI原油先物価格とは、ウエスト·テキサス·インターミディエートの略で、西テキサス地方で算出される原油の事を指しています。
ニューヨークマーカンタイル取引所で取引されています。
4月の後半に最安値12ドル台を付けていますが、瞬間的にマイナス40ドルくらいまで下がってニュースにもなった気がします。(現在は40ドル台)
株や債券が売られ、経済が停滞したのち航空会社や鉄道、自動車製造業などに使われる原油が必要なくなってしまったことと、中東とロシアの関係が悪化したこの時期に原油価格の大暴落が起きています。
米10年債利回りに注目してみよう!
米10年債とはアメリカ国債の金利の利回りを表しています、10年間の利率を表し、利回りが高ければ金利を多く受け取れて、低ければ金利が低いと言う事になります。
国が破綻しない限り100%安全資産ですので、たくさん買われると利回りは低下し、売られると利回りは高くなります。中央銀行が決める政策金利と連動する傾向にあり、国の経済が発展し、政策金利が上がると国債の利回りも上がっていく傾向にあります。
ボラティリティが上がる理由を調べてみよう!
VIX指数の意味するところ
上記の通り米国のS&P500種指数を元に算出されている指数ですので、ある意味「世界最強の企業をまとめた指数」と言い換える事も出来、その時価総額が高いか低いかに連動していると言えます。
つまり、アメリカ最強の企業が売られていればVIX指数は上がり、買われていればVIX指数は下がります。
ですので、コロナで世界中の投資家がアメリカ最強の企業の株を投げ売りしたことで、3月から5月のVIX指数が85付近まで跳ね上がってしまいました。
VIX指数とFXの関係について
この様にVIX指数が上がっている状態の時に何が起きているかと言うと、アメリカ最強の企業の株が売られ、時価総額が激減しました。
これにより、安全資産である国債を買う動きが強まり、米国10年債利回りが低下します。
すると今度は米国債を買う為に世界中の金融機関や投資家がドルを必要とする様になり、ドルインデックスが上がっていく仕組みになっています。
ボラチェッカーを見てみよう!
そこで、通貨の話に戻します。
上記の様な理由があり、通貨の必要性が高まるとFXでのボラティリティが上がったり下がったりします。
こちらのサイトで通貨ペアごとのボラティリティを確認することが出来ます。
前日までのデータになりますので、これから先の未来に関しては予測していくしかありませんが、様々な要因が絡み合って通貨のボラティリティが変動している様子が分かります。
通貨ペアごとのボラティリティ
こちらのボラチェッカーをご覧いただくと、通貨ペアごとのボラティリティに違いがある事が分かります。
ドル円の平均値幅は月間で約40~50pips
ユーロドルで70~80pips
ポンド円で120~130pips
となっており、直近から週間、月間の推移も掲載されていますので、ほぼ正確に今後の値動きや通貨ペアごとのボラティリティを予測することが出来ます。
ちなみにVIX指数が最高潮時のドル円のボラティリティがこちらになります。
一日に300pipsから400pisp近く動いている日があることが分かると思います。
先物、株式、原油、債券など様々な要因に左右されて通貨のボラティリティが変動していることが見て取れます。
時間帯ごとのボラティリティ
更に、通貨のボラティリティには時間帯ごとにも顕著な特徴があり
FXのトレードはほぼ24時間行われていますので、いつでもトレードできるのが最大の利点になります。ある意味どんな生活スタイルをしていてもトレードできるので万能な投資ツールに思えますが、いざFXをやり始めてみると、なん[…]
こちらの記事を参考にして頂ければと思いますが、3大市場と呼ばれる東京、ロンドン、ニューヨークの市場とその中で注目度の高い取引時間帯について書いています。
FXとボラティリティの関係とは
価格が動く時間帯を知る
上記関連記事の通り、価格が動く(ボラティリティ高い)時間帯が存在します。
代表的なものとして、東京仲値、欧州市場オープン、ロンドンフィクス、ニューヨークオプションカット等です。
その時間帯だけでも一日のボラティリティを決定してしまうほどインパクトがありますので、ほぼ毎日同じ時間帯だけを狙ったトレードをしてみるのも効果的かと思います。
経済指標でボラティリティが高くなる理由
特にアメリカの雇用統計など世界中の投資家が注目する経済指標の発表後にボラティリティが急激に変化することがあります。
仮に雇用統計で想定していた以上の数値が出た場合、アメリカの雇用が上向きな事を意味していますので、株価が上がる傾向にあります。そうなると米国株を買う為の通貨であるドルのニーズが高まりますので、ドルの価値が上がり、ドルストレートが上昇します。
しかし、想定していた以上の数値を見越して先に買いのポジションを持っている人たちは、指標発表後に急騰していくドルを横目にどこで利益確定の売りを入れようか狙っています。そして高値を付けたタイミングで一斉に売りを浴びせかけて利益を得て行きます。
すると指標発表後に買いで入った人たちも売りに回り、さらに新たにショートエントリーで参加する人たちも出てきて数値は想定より良かったのに結局元の値に戻ってしまったと言った話はよくあります。
つまり、相場参加者の短期的な心理によってボラティリティが変化したと言った現象が起きてしまいます。結局指標の数値が想定以上なら長期的に見てドルは買われて上がっていく傾向にはありますが、発表後の短期的なボラティリティは他の長期の相場全体のボラティリティとはまた違った値動きになっていると言う事になります。
株価の売買高と売買代金との違い
株式市場の場合、取引所があり取引時間が決まっている為に、一日の売買高と売買代金が決まっています。
その点FXでは取引所がある訳ではなく金融機関が相互に取引をしていて、売買高も売買代金も正確な数字が分かりません。
その為相場全体のボラティリティを様々な角度で検証して見極めていくしかありません。
その代表的な指標としてVIX指数が上げられていますが、ご紹介した通り、インデックス指数や原油、債券、通貨ペアごとのボラティリティを常に把握しておく必要があります。
世界中のお金の流れを知る
つまり、世界中のお金がどこにどう回っているかと言う事を常に意識できるか?を考えて相場に向き合っていく事が大切なのではないかと思います。
実際に資金がどう回っているのかを正確に知ることは一般の素人にはとても無理な話ですが、ネット上にある情報をつなぎ合わせていく事で、ある程度予測していく事は可能だと考えています。
風が吹けば桶屋が儲かる
江戸時代にいた三味線奏者は目の見えない人が多かったそうです。(目をつぶって弾いていただけかもしれませんが)
風が吹くと、舗装されていなかった江戸の街には砂ぼこりが舞い上がり、目に入って目が見えなくなる人が発生し、目が見えなくなった人は三味線弾きになると思いこんでいる人が、三味線の需要が増える事を予想して、三味線を作るのに必要な猫の皮を取る為に猫を捕まえようとします。
すると桶を使って野良猫を捕獲して、桶の中にしまって皮をはぐので桶屋が儲かる。
と言った話ですが、新型コロナが発生した当初にその先の何か月後のドル円相場を予想していた人たちの想像力もこのような回路で出来ているのではないかと思っています。
まとめ
世界のお金がどう動いているかを常にイメージ出来ているか?
ボラティリティを知る上では相場全体のお金の流れを把握することが大事だと話しましたが、どこからどこへお金が流れて、そのためにどの通貨が必要とされているのかを想像することに意味があると思っています。
GPIFなど巨額な年金資金を投入してドルを買い、株や債券を買い、利益を円に換算している機関などの動きにも注目しなければなりません。
考えれば考えるほど気が遠くなってきますが、FXを始めたからには必須の知識となりますので、是非日々の生活に取り入れて一日5分でも上記の指数をチェックする時間を作って頂けたらと思います。
ボラティリティがなければじっと我慢するしかない
とはいえ、全く相場が動かないボラティリティがない日も当然あります。
そんな時は焦らずにじっくりと相場が動き出すのを待って、休むも相場と思い気たるべく大相場に備えて頂けたらと思います。
今回は以上となります。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。