チャートとは、相場参加者の心理を具現化したものである。
「移動平均線」とは、チャートに現れた相場参加者の心理を
一定の期間の平均値で結んだものになります。
言い換えれば、相場の喜怒哀楽の平均値を表したグラフと言えるでしょう。
相場が過熱して熱狂している状態を表していたり、
一斉に売りが続いて恐怖や悲壮感が現れたりした時の
相場参加者が放つ様々な気持ちの平均値が
「移動平均線」です。
移動平均線とは
最初にチャートを開いたときにデフォルトで設定されているのが
単純移動平均線(以後SMAと表示します)
- 5
- 25
- 75
- 200
になります。
「単純移動平均線」とは、SMA(Simple Moving Average)の事で、
ある期間の平均値を表したグラフになります。
例えば
チャートの時間設定を日足(ひあし)にしていれば、
5SMAとは5日間の平均値
4時間足に設定していた場合は
4時間×5=20時間の平均値
1時間足だと5時間の平均値
を表しています。
※日足に設定したチャートで5SMAと言ったら、5日間の終値(おわりね)の平均値を結んだグラフになります。
✔なぜデフォルトでこの4本のSMAが表示されているのか?
日足チャートの5日が月曜日から金曜日までの5日間
25日は1か月の営業日(昔は日曜日以外は営業していた?)
75日は3か月間の営業日
200日は約1年間の営業日
を表しているからです。
なぜこの4つのSMAがデフォルトなのか?
まだPCがない頃は、金融機関や証券会社のディーラーたちは前日の株価の終値とその前の数日間の平均値を電卓で計算し、紙のグラフに書き記して、移動平均線を表示していたそうです。
その頃は世界中どこの金融機関でも手書きでやっていた為、
5、25、75、200
の移動平均線を共通の認識として捉えていたそうです。
つまり、ある一社だけが全く違うMAを電卓で計算して、手書きでチャートに書き記していても、
周りと共通の数値でない為に相互間でのやり取りに不備が出てしまうと言ったことがおきてしまいました。
しかし、PCの発達とともに、計算式を出すのが容易になった為、様々な数値で計算されたMAを用いる様になりました。
しかし、大手金融機関や証券会社は未だに当時からの数値を共通の数値として使っている為に、
チャート画面にデフォルトで設定されているSMAの数値は5、25、75、200が表示されているという訳なのです。
移動平均線(MA)の見方について
名前の通り平均の数値を結んだグラフなので、短期的な乱高下や急騰、急落は平均化され
ロウソク足の上下動ほど直接的ではない緩やかな曲線で表示されるのが特徴です。
期間が長ければ長いほどその平均値は緩やかな線を描きます。
5日の平均値より、200日の平均値の方がより緩やかな曲線を描きます。
見方としてはチャート上に表示した4本のMAがどちら方向へ向いているのか?
が非常に重要になります。
もし4本のMAが同じ方向を向いている時は、その方向にトレンドが発生していると考えられます。
もし4本のMAがバラバラに表示されていたら、トレンドの転換か、レンジ相場を表していると考えられます。
4本のMAが揃って右肩上がりになっていたり
揃って右肩下がりになっている状態を
パーフェクトオーダーと呼んでいます。
明確な上昇トレンド、下降トレンドが発生している時にはこのパーフェクトオーダーが表れていることが多いです。
それぞれのMAの使い方
まず5SMAは一番短い期間のMAになりますので、
ほとんどローソク足の上下どちらか、もしくはローソク足に重なるように表示されている事がほとんどです。
ローソク足が5SMAの上下どちらかにあるかで、短期的に5日間の平均値よりも現在値が高い(買われている)のか
安い(売られている)のか、の目安になります。
短期デイトレードやスキャルピングをされる方には非常に重要なMAになります。
仮にローソク足が5MAを下から上に切り上げたら買いを検討し、
ローソク足が5MAを上から下へ切り下げたら売りを検討するなどの目安となるからです。
25SMAは1か月間の平均値になりますので、直近のトレンド(相場心理)を表していると言えます。
25SMAが上を向いているのか?下を向いているのか?
25SMAの上にローソク足があるのか?下にあるのか?
ローソク足が25SMAを下から上へ切り上げたのか?切り下げたのか?
相場心理を判断するうえで非常に重要になってきます。
大手金融機関やヘッジファンドなど世界中のトレーダーが注目しているMAになるかと思います。
(ちなみにボリンジャーバンドの中心線である20SMAも多くのトレーダーが意識しているMAとして有名です。)
75SMAと200SMAについて
この2本のMAは主に利益確定、損切りの目安として使われることが多いと思います。
※逆張り手法のエントリーに使われることもありますが、今回は割愛します。
多くの市場参加者が、この2本のMAにローソク足がタッチした時に、利確、損切りをする目安としていることから、
ローソク足が75SMAと200SMAにタッチすると反発しやすい傾向にあります。
世界中には様々なMAが表示されていますので、後述するEMA(指数平滑移動平均線)やその他のインジケーターも利確、損切りの目安となっていますので、
この2本のMAを意識せずに素通りしてしまう事もよくあります。
しかし、基本的に上下どちらかに揃て表示されていることの多いこの2本のMAの、75SMAで反発せずに素通りしてしまったとしても、
その下にある200SMAには綺麗に意識して反転を見せる、と言ったこともよくありますので、
どのMAが意識されて、どのMAが意識されないか?
はその時々の相場環境によって変わってくるのが現状です。
デッドクロスとゴールデンクロス
FXをやったことの無い人でもこの言葉には聞き覚えがあるかと思います。
これは、長期のMAと短期のMAが交差することを表します。
例えば、25SMAが75(200)SMAを上から下へ交差したら
デッドクロス
と言って、相場が反転する予兆と判断します。
反対に、25SMAが75(200)SMAを下から上へ交差したら
ゴールデンクロス
と言って、下降トレンドから上昇へ転換する予兆として判断されています。
とはいえ、MA自体が過去の終値の平均値ですので、あくまでも
過去の数値
であり、未来を予想する数値ではありません。
長期の平均値より短期の平均値の方が上回ったのであれば、直近の相場の勢いの方が、過去の勢いよりもより力強い勢いがあると表しているに過ぎませんので
ゴールデンクロスなので買い!デッドクロスなので売り!
と判断するにはいささか早合点ですが、相場全体の流れを判断する上では、ゴールデンクロス、デッドクロスは意識しておいた方が良いと思います。
その他の移動平均線
前の章でもご紹介しました通り、単純移動平均線(SMA)の他に、指数平滑移動平均線(EMA)と呼ばれるMAも多くのトレーダーに使われています。
✔指数平滑移動平均線とは
指数平滑移動平均は、過去の価格よりも直近の価格になるほど比重を置いて計算された平均値です。
過去の価格ほどその影響が指数関数的に減少されることから、期間の数値を単純に平均した単純移動平均と比べて、直近の値動きに対する反応が早くなるという特徴があります。引用
との事ですので、計算方法はこちらでご参照ください。
SMAよりEMAの方がより直近の値動きに近い値動きになるように計算されていると言う事のようです。
ちなみに、このEMAが主に何に使われているかと言いますと
MACDとよばれるオシレーターに表示されています。
✔MACDとは
MACD(Moving Average Convergence Divergence)日本語では移動平均収束拡散と言う意味になります。
つまり短期EMAと長期EMAの乖離を図って、相場が買われ過ぎているのか?売られ過ぎているのか?を表す非常にすぐれたオシレーターです。
この動画が非常に分かりやすくておすすめです。
移動平均線の期間について
様々な数値を簡単に設定することが出来ますので、検証ソフトで1から1000まで順番に検証してどの数値が一番機能しているのかを調べても面白いと思いますが、
どれだけ多くのトレーダーが同じ数値を見ているか?
が一番重要になると思います。
上記の4本のSMAは多くのトレーダーが見ていることは間違いありませんが、
他にも
- 20
- 50
- 90
- 100
など様々です。
前述しましたが、ボリンジャーバンドの中央値である20SMAも多くのトレーダーが意識していると考えられていて、
ボリンジャーバンドを表示しているトレーダーが多いことを裏付ける結果だと思われます。
90、100や200なども大手金融機関や海外のヘッジファンドが見ている数値として知られています。
まとめ
いままで何となくMAを表示していたり、数値に異常にこだわっていた方はこちらを読んでいただいて、
そんなに気にしなくてもいいのかな?
多くのトレーダーが見ている数値で設定しておけばいいか?
くらいに思って頂けたのではないでしょうか?
厳密にこの数値が良いという絶対値がないのは、冒頭でお伝えしました通り、
相場自体が参加者の喜怒哀楽を反映しているからで、その平均値であるMAに絶対的な数値があるはずがない
と言う事だと思います。
MAに反応が出た時に、「お!75MAで反発したので大口はこの数値をみて利確しているな?」
とか
「200MAがちかくにあるから、きっとここで反発するだろうな?」
そんな使い方をされるのが良いのかと思います。
では、今回は以上となります。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。