こんにちは、たけんちです。
ドル円が動くシリーズ!今回は実際にドルを支払いに使う為に必要としている企業や、海外の販売代金などで得た米ドルを日本円に両替したい人たちの思惑が、ドル円の価格を左右していると言った話をしてみたいと思います。
FXトレードだけではなく、実際に使う目的で多国間の通貨の両替をしている人たちの思惑を紐解いて日々のトレードに役立てて頂けたらと思います。
誰がどこでなぜドルを必要としているのか?
1ドルの価値を決めています。
基軸通貨である米ドルの取り引きをする場合、「1ドルがいくらになるのか?」が基本となります。
もしドルを買いたい人が多ければ1ドルの価値は上がり、売りたい人が多ければ1ドルの価値は下がります。
買う人がいれば、その反対に売る人がいるのが相対取引(あいたいとりひき)である為替の基本となりますので、例えば1ドルを100円で買いたい人より、同じ1ドルを101円で買いたい人の方が多ければ、ドルの価値は上がり、1ドルを100円で売りたい人より1ドルを99円で売りたい人の方が多ければドルの価値は下がります。
1ドルを買いたい人と売りたい人で綱引きのように引っ張り合って「1ドルいくら?」の値段が決まっています。
輸出企業と輸入企業について
とはいえ、誰がそんなにドルを必要として買ったり、売ったりしているのでしょうか?
代表的なところで「実需」と呼ばれる使用する目的で米ドルを購入する輸入企業と、米ドルを売って日本円に両替したい輸出企業が挙げられます。
例えばアメリカで車を販売しているトヨタなどは、北米での売り上げは当然ドルで受け取ります。日本企業なのでそのドルを円に両替する必要があります。
トヨタの北米での売り上げは日本円にして約10兆円にも上りますので、仮に10兆円分のドルを円に両替(ドル売り)したとしたら、1ドルの価値が高い方が日本円にしたときに多くの円を得られることになります。
反対に輸入企業の場合は、例えば原油の輸入をしている企業は原油を購入するのに支払いをドルで行わなければならず、手持ちの円をドルに両替(ドル買い)する必要があります。
原油総輸入金額は月間約5兆円にも上りますので、それだけ円からドルへ両替(ドル買い)をして原油を販売してくれる中東などの産油国に支払っています。
つまり、これだけ巨額な金額の両替を日々行っている企業が存在していることで、ドル円の価格が変動してしまう要因の一つとなっているのです。
※そもそもFXなどの投機的な目的よりも、実需の外貨の両替目的の方が一般的な為替取引と言えると思います。汗
どこで両替しているの?
そんなに巨額の両替を一体どこで行っているのでしょうか?
基本的には三菱UFJ銀行や三井住友銀行などのメガバンクが担っているとの事ですが、一度に数千億円もの両替を必要としている企業の場合、手元にドルや円がなければ市場から調達して取引先企業が必要とする量の資金を用意しなければなりません。
ニューヨークオプションカット
ニューヨーク市場の通貨オプション取引の権利を行使する最終的な締め切り時刻(カットオフタイム)である現地時間の10時(夏時間は9時)日本時間24時(夏時間は23時)に行われる通貨のオプション(先物)取引の事で、あらかじめ定められた期間に定められた価格でドルを買う権利と売る権利を行使する先物市場になります。
買う側は銀行や証券会社で、輸入や輸出企業から手数料を貰って両替を担っている機関が取引をしています。
逆に売る側は、貿易企業や金融機関などで、手持ちのドルを自国通貨に両替するためなどにあらかじめ定められた価格で売る権利を行使しています。
具体的なオプションカットの例
例えば1か月間ドル円を100円で買う権利を100万円として、買い手側は締め切り時間であるオプションカットの時間に市場価格が100円よりも安ければ権利を行使せず、100円よりも高ければ権利を行使します。
権利を行使する場合は必要な量のドルを目標としている価格(100円)で調達することが出来るメリットがあり、権利を行使しない場合はプレミアムと呼ばれる手数料だけを払ってオプションではなく市場から直接調達することになります。
この場合仮にドル円の市場価格が110円になっていた場合、オプションの100円で権利を行使して、締め切り時間であるカットオフタイムを過ぎたら100円で調達したドルを市場に110円で売れば利益を得られるという訳ですし、支払いに使いたい輸入企業は100円で仕入れたドルを110円の価値で支払いに使える訳ですから差分が利益になると言う事になります。
売り手と買い手の思惑が交錯してニューヨークカットの時間には設定された価格付近に近づいていく傾向があります。
こんな感じで証券会社さんのHPなどで公開していますので、参考になさっていただければと思います。
まとめ
実際に市場を動かしている大企業の実需の両替は数千億から数兆円にも上り、その巨額の資金が毎日取引されていることを知ることは、日々FXトレードをしていくうえで欠かせない知識だと思っています。
私自身ニューヨークカットと言う通貨の先物市場があることを知ってから、トレードに向きあう姿勢や、チャートの見方などが劇的に変わってきました。
どんな企業がどんな目的で通貨の両替をしているかまでは想像するしかありませんが、実際にカットオフの時間に向けてオプション価格に向かっていくレートを見ていると、その裏でヘッジをかけて反対売買をしている機関投資家や、金融機関の思惑なども透けて見えてくるので、その後の値動きを予想するうえで重要な要素となってきます。
今はコロナ禍で輸出企業は海外での販売が低迷し、輸入企業も原油などの資源を必要としない為、ドル円の価格は大きく動くこともなくレンジ相場が続いています。
しかし、アフターコロナの世界には今までとはまた違ったドル円の実需の売買が繰り広げられる市場が待っていると思っていますので、その時には巨額の売買のほんの僅かなおこぼれを取り逃がさない様に、トレードの腕を磨き続けていくのみと思っています。
それでは、今回は以上となります。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。